船の相続に必要な戸籍って?

船の相続に必要な戸籍って? 船の相続手続きに必要な戸籍の範囲

「船を所有していた家族が亡くなったが、船の相続手続きは、まず何から始めればよいでしょうか?」

故人の遺産の中に船が含まれていた場合、まずはこのように悩まれる方が多いのではないでしょうか。

もし遺言書がない場合、「相続人全員」で遺産分割協議を行い、誰が船を引き継ぐのか(名義変更するか)を決める必要があります。

そして、相続人全員で話し合うためには、まず「誰が相続人なのか」を正確に特定しなければ、手続きを進めていくことができません。

そこで、この記事では、船の相続手続きに必要となる相続人を特定するために必要な戸籍謄本の範囲について、分かりやすく解説します。

※個人で所有されている船のほとんどは小型船舶(総トン数20トン未満の船舶)にあたります。
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1.船の相続(名義変更)における「相続人」とは?

配偶者(夫や妻)や子供が相続人になるというイメージは、皆さんお持ちかもしれません。

実は、民法という法律によって、誰が相続人になるのか、その順位が定められています。

亡くなられた方の「配偶者」は常に相続人となりますが、それ以外の方については以下の通り優先順位が決まっています。

(1)子(亡くなっている場合は孫)

(2)父母(亡くなっている場合は祖父母)

(3)兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥姪)

つまり、子供がいれば子供が相続人になり、父母や兄弟姉妹は相続人にはなりません。

また、子供や孫がいない場合に初めて父母(または祖父母)が相続人となります。そして、子供や孫、父母、祖父母が誰もいない場合に、兄弟姉妹(または甥姪)が相続人となるのです。

2.船の相続手続きに必要な戸籍謄本の範囲

では、実際にどこまでの戸籍謄本を集めなければならないのでしょうか?これは「誰が相続人になるのか」によって大きく変わります。

先ほどお伝えした順位に沿って、船の相続に必要な戸籍の範囲を解説します。

※死亡や婚姻などで全員が抜けた戸籍を「除籍」、コンピューター化などで様式が変わった場合の古い戸籍を「改製原戸籍」と言いますが、この記事ではわかりやすいように、呼び方をすべて戸籍で統一しています。

①子供が相続人になる場合

子供がいる場合には、子供が相続人となり、その際には以下の書類が必要となります。

  • 被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍
  • 子供全員の現在戸籍(最新の戸籍)

※亡くなられた方のことを「被相続人」といいます

②孫が相続人になる場合

子供が先に亡くなっている場合には、代わりに孫が相続人となり、以下の書類が必要となります。

  • 被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍
  • 子供全員の現在戸籍(最新の戸籍)
  • 亡くなった子供の出生から死亡までの一連の戸籍
  • 代わって相続人となる孫全員の現在戸籍

③父母が相続人になる場合

子や孫がいない場合には、父母が相続人となり、その際には以下の書類が必要となります。

  • 被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍
  • 亡くなった子供の出生から死亡までの一連の戸籍(子供が先に亡くなっている場合)
  • 父母の現在戸籍(最新の戸籍謄本)

④祖父母が相続人になる場合

父母がどちらも亡くなっている場合、祖父母が相続人になり、その際には以下の書類が必要となります。

  • 被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍
  • 亡くなった子供の出生から死亡までの一連の戸籍(子供が先に亡くなっている場合)
  • 父母の死亡が記載された戸籍(除籍など)
  • 祖父母の現在戸籍(最新の戸籍)

⑤兄弟姉妹が相続人となる場合

子や孫、父母、祖父母がいない場合には、兄弟姉妹が相続人となり、以下の書類が必要となります。

  • 被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍
  • 亡くなった子供の出生から死亡までの一連の戸籍(子供が先に亡くなっている場合)
  • 父母の出生から死亡までの一連の戸籍
  • 兄弟姉妹全員の現在戸籍(最新の戸籍)

⑥甥姪が相続人となる場合

兄弟姉妹が先に亡くなっている場合には、代わりに甥姪が相続人となり、その際には以下の書類が必要となります。

  • 被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍
  • 亡くなった子供の出生から死亡までの一連の戸籍(子供が先に亡くなっている場合)
  • 父母の出生から死亡までの一連の戸籍
  • 兄弟姉妹全員の現在戸籍(最新の戸籍)

3.戸籍はどこで取得する?

戸籍謄本は、本籍地のある役所に申請をするのが原則でしたが、現在では全国どの市区町村の窓口でも申請できるようになっています(広域交付制度といいます)。

この広域交付制度を利用される場合には、顔写真付きの身分証(マイナンバーカード、免許証、パスポートなど)が必須となりますので、そちらをお持ちのうえ、役所の窓口で申請しましょう。

4.戸籍の収集にかかる費用

戸籍の発行手数料は、市区町村ごとに異なる場合がありますが、一般的に、戸籍は1通450円、除籍や改製原戸籍は1通750円の発行手数料がかかります。

相続人を特定するためには、相続関係などによって、必要な通数が変わりますが、最低でも数通の戸籍が必要となりますので、合計で数千円程度の費用を見込んでおくとよいでしょう。

5.まとめ

この記事では、船の相続手続きを行う際に必要となる戸籍謄本の範囲について解説しました。

相続関係(誰が相続人になるか)によって、必要となる戸籍の範囲は大きく変わります。せっかく戸籍を取得したのに、戸籍が足りておらず、再申請となるケースは珍しくありません。

そのようなことにならないよう、お早めに船舶相続手続きの専門家である海事代理士にご相談されることをおすすめします。

当事務所でも船舶の相続手続きをサポートしております。
ご自身での手続きが難しいと感じたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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海事代理士 中田雅大

この記事の執筆者・監修:海事代理士 中田雅大

船舶の登録・検査から、海事に関する複雑な法務・相続手続きを専門とする海事代理士。ご遺族の負担を少しでも減らせるよう、全国の小型船舶のスムーズな名義変更・相続手続きを責任をもってサポートいたします。